未来戦隊ノビレンジャー

第0話 動き始めた歯車

昔々、神様が天と地を御創りになった後、

「光在れ」と仰いました。

すると、光が差して、昼と夜が出来ました。

神様は次々に魚や獣や虫達を御創りになりました。

そして最後に、人間の先祖が創られたのです。

この世の果てに答えはなかった。

夢の終わりに現実は消えていた。

すべて奪われた。すべて失った。

得た物は、何一つ無かった。

これより紡がれることとなるそれぞれの物語。

奇跡たちは信念を貫き通すべく、ただ前へと突き進んでゆく。

邪悪を打ち抜く弾丸のように。

光り輝く閃光のように。

時に闘気の如く荒々しく。

時に悪魔の如く鮮烈に。

時に黒塗りの繰り返し。

そして、小さな星が生まれるかのように。

やがて来る奇跡たちは自らの物語の始まりを静かに待つ。

Glory to the miracle


第1部 大いなる胎動

第1話 放浪者の調査記録T

これを読む者ならドラえもんとその仲間たちのことは知っているであろうから、

説明を省こう。

端的に語るならば、これはドラえもんが去ってから10年後の物語だ。

主人公は野比のび太。ドラえもんと幾度となく世界を救った男。

彼はドラえもんと別れた後、彼なりに努力し、成長していた。

決してドラえもんによりかかったまま成長したのではなく、成長していくにつれ、

一人の男として仲間からも信頼される大きな存在となっていた。

物語の始まりは薄暗い雨の夜。

そのとき、彼は予想していなかっただろう。

その日を境に、彼の世界が激変することに。

自分が世界の異変に立ち向かうことに。

長い旅が始まろうとしていることに。

野比のび太が立ち向かう敵は強大にして邪悪だ。

しかし、彼は決して恐れない。挫けない。

それが野比のび太という男だ。

………名乗るのを忘れていた。

私の名は旅の霊夫。世界を渡り歩く者だ。

To be continued

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旅の霊夫

世界を渡り歩く謎の放浪者。すべてが謎に包まれている。


第2話 繰り返す時間への旅

君がいた町。

君が見た景色。

ドラえもん…この町は君がいなくなってから、

少し変わった。

ドラえもん…僕も…少しは大人になったのかな。

雨が降っていた。

のび太の世界は雨に染められていた。

「この空き地も変わらないな」

そう言ってのび太は土管に飛び乗った………と、思ったら、

滑って転んでずっこけてしまった。

「いてててて。決まったと思ったんだけどな」

気を取り直して土管に腰掛けるのび太。

「………ドラえもん。この頃何故か君のことをよく思い出すんだ。

ドラえもん…僕は君にいつも助けられてばかりだった。

なのに僕は君に何も恩返しらしいことが出来なかった。

ドラえもん………………………………………」

のび太の呟きは雨音でかき消される。

そんな時だった。

雨の中で『何か』が揺れている。

(何だ…?この感覚……昔感じたことがある)

揺れは歪みへと変わった。

(何なんだ?この感覚。焦り?恐れ?それとも懐かしさ?)

歪む『何か』とは空間のことだった。

人間が為し得ない四次元への干渉。

それを可能とする超未来の科学技術、『ひみつ道具』。

今、次元の門が開かれようとしている。

「まさか………ドラえもん!?」

開かれた次元の門から現れたモノは、

「グハァ!」

「キシャアアアアアアアアッ!」

見知らぬ猫型ロボットと空を飛ぶ異形の怪物だった。

猫型ロボットが地面に膝をつけており、

明らかに険悪な雰囲気だ。

「貴様ァ!ノヴァシステムを渡せ!」

「それは出来ない!これは…未来の希望だ!」

(ノヴァシステム?未来の希望?どういうことだ………?)

「力尽くで頂くぞ!」

怪物が上昇し始めた。上空から体当たりするつもりだ。

「死ねえッ!」

(マズイ!)

のび太は考えるより先に飛び出していた。

「やめろオオオオオオオオオオオオオオッ!」

衝突する寸前、のび太は猫型ロボットを回避させていた。

「キシャアアッ!」

猫型ロボットがいた位置を凄まじい速度で通過する怪物。

「キシャ?何だお前は!?」

「逃げよう!」

「え?ちょっと!」

猫型ロボットの手を引っ張り、走り出したのび太。

「!?キシャアアッ!」

後を追う怪物。

かくして伝説は幕を開けた。

もはや引き返すことは出来ない。

これは彼らが我々に見せる、一つめの奇跡なのだ。

To be continued

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野比のび太

本編の主人公。

少年時代にドラえもんと数々の冒険を繰り広げ、

幾度となく世界を救った男。

気弱だが、穏やかで優しく、人一倍の勇気を持つ。

その性格からか天然自然に愛され、彼を慕う者も多い。

特技は射撃、昼寝、あやとり、ピーナッツの投げ食いなどで、

特に射撃の腕前はプロの殺し屋に勝利するほどである。

また、ひみつ道具の性能を十二分に発揮させ、

応用することも得意とする。

静香に思いを寄せているが、未だに進展はない。


第4話 赤い炎

「おい!ギガゾンビってどういうことだ!

あいつは逮捕されたはずだ!」

驚きの声を上げるのび太だったが、

言われた怪物のほうが驚いていた。

「お前…ギガゾンビ様を知っているのか?」

のび太に歩み寄る怪物。

「お前何者だ?さっきも未来の銃を操っていたが………」

のび太の顔をまじまじと見つめる怪物。

「!!!」

怪物が何かに気づいたかのような驚きの声を上げた。

「お前………まさか…野比のび太か?」

その言葉に猫型ロボットも驚いた。

「あなたが野比のび太!?」

「?どうして僕の名前を?」

何かを考え込む怪物。

すると、

のび太に蹴りをいれた。

「グハ!!!」

「お前だけは今………どうしても今殺さなければならない!」

のび太に再び歩み寄る怪物。しかし、

ダン!

弾丸がその道を阻んだ。

猫型ロボットの放った弾丸だった。

のび太に駆け寄る猫型ロボット。

「しっかりしてください!のび太さん!」

「ゲホ!ゲホ!」

のび太を立ち上がらせる猫型ロボット。

「これを………………」

猫型ロボットはのび太にブレスレットのような物を手渡した。

全体的に赤く染められ、中央部に赤、青、黄のスイッチが配置されている。

「これは………何?」

「やはり………野比のび太が適格者か!!!」

(適格者?何それ?)

完全にのび太一人が置いてかれている。

「それを左手首にはめて!」

「え?どうし………………」

「速く!」

とにかく慌ててブレスレットをはめるのび太。

「そうしたら………………」

「させるかアアアアアアアアアアアアアアッ!」

突進してくる怪物。

二人は慌てて避ける。

「のび太さん!赤いスイッチを押して…チェンジと叫んで!」

振り返りもう一度突進しようとする怪物。

「ええい!もう…どうにでもなれ!」

赤いスイッチを押すのび太。

[STANDING BY]

ブレスレットから発せられる機械の音声。

「チェンジ!」

[CHANGE NOBI RANGER]

その瞬間、のび太の体が赤い閃光に包まれた。

「しまった!!!」

閃光の放出が治まった時、そこにのび太の姿はなかった。

その代わりに全身を赤で包んだ男が直立していた。

「………………………………………………………………」

「のび太さん!闘ってください!あなたは……ノビレッドだ!」

一歩ずつゆっくりと、しかし確実に怪物に接近するのび太。

「グゥ!死ね!」

渾身の拳を放つ怪物。しかし、のび太に簡単に止められてしまった。

「何ィ!」

拳を握り込むのび太。

「フン!」

「グハァ!」

遥か前方へ弾き飛ばされる怪物。

「のび太さん!これを!」

猫型ロボットが銃をのび太に投げ渡した。

「青いボタンを押して!」

「分かった!」

青いボタンを押すのび太。

[CONVERSION]

すると、銃が赤い閃光に包まれたかと思うと、

まったくの別物に変貌してしまった。

(すごい…これなら………!)

銃を構えるのび太。

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

「キシャアアアアアアアアッ!」

弾丸が放たれるたびに弾き飛ばされる怪物

のび太はコッキングレバーを下ろした。

銃を構えるのび太。

「こんな………こんなクソ人間に…………!」

引き金を引くのび太。

怪物が赤い炎に包まれ、

「ギガゾンビ様に………!栄光あれエエエエエエエエエエエッ!!!」

爆発四散した。

いつからか、雨が上がっていた。

「やりましたね……のび太さん!」

「………このスーツ…どうやって脱ぐの?」

「黄色のボタンを押して下さい」

[DESORPTION]

スーツがブレスレットに吸い込まれた。

「のび太さん。力を貸して下さい。未来が崩壊しようとしています」

「一体…………何が起こっているの?」

To be continued


第5話 螺旋のMaze

「私の名はドラ太郎。こうして名乗るのは初めてですね」

「ドラ太郎。それが君の名前…………」

(どこかで聞いたことある名前だな………………何だっけ?)

そう考えながらも頭を切り替えるのび太。

「未来で何が起こったんだい?」

グッと真剣な表情になるドラ太郎。

「のび太さんは…………ギガゾンビをご存じですよね」

「もちろんだよ」

そう言いながらギガゾンビのことを思い出すのび太。

ギガゾンビ。

23世紀の時間犯罪者。

嵐と雷を操る不死身の精霊王としてクラヤミ族を操り、

7万年前の世界の支配を企んだ。

最終的にはタイムパトロールに逮捕された。

その男が今回の出来事に関わっている………………?

「未来でギガゾンビがクーデターを起こしたのです」

「何だって!!!!!!!」

驚きの声を上げるのび太。

「ギガゾンビは多数の時間犯罪者を引き連れて刑務所を脱走しました。

ギガゾンビ達は世界連合組織サルジェスに宣戦布告したのです」

「未来でそんなあったのか…………」

「ギガゾンビ達に対抗するため……サルジェスはS.P.D.を最前線に投入しました」

聞き慣れない言葉に戸惑うのび太。

「S.P.D.って……何?」

「S.P.D.。正式名称は『Special Police Doraemons』。

ザ・ドラえもんズを中心に結成された七つの部隊の総称です」

「ド……ドラえもんズ!?」

のび太が驚くのも無理はない。

のび太が昔出会ったことのある七人の猫型ロボット達。

そのリーダーこそがドラえもんだからだ。

「ということは……ドラえもんも………………?」

「もちろん。ドラえもんさんはS.P.D.の第一部隊の隊長。最高司令官です」

「ドラえもんが!!!???」

「そうですよ。私も第一部隊でドラえもんさんの部下です」

「そうだったのか………………」

「ゴッホン」

咳ばらいするドラ太郎。

「話を…戻しましょうか」

「!分かった」

「S.P.D.の圧倒的な戦闘力によりギガゾンビ軍はほぼ壊滅状態。

決着はついたかに思われました。しかし、それは奴らの罠でした」

「………………………罠?」

「奴は時間に『関』のような物を造り…この時代への侵入を不可能にしてしまった」

(……………あれ……ちょっとおかしくないか?)

「それならさ…どうして君はここにいるの?」

「………………………………………………………………………」

予想外のことを聞かれたかのような表情をするドラ太郎。

「それは私が運良くこの時代への時間転移に成功したからなんです。

S.P.D.の技術力を持ってしても転移に成功したのは僕一人だけだった」

(今の間……何か不自然だったような…………気のせいか?)

気を取り直してドラ太郎への質問を再開するのび太。

「ところでさ……ギガゾンビはこの時代に来て何をするつもりなの?」

「時間の変革。それに尽きます。

奴は自分自身が世界の支配者に相応しいと考えていますからね」

「なるほどね」

「しかし……奴の思い通りにさせる訳にはいきません。

そのために私はこの時代に切り札を持って来ました」

「それが……………………………………………」

のび太は自分の左手首にはめられている物体を見た。

のび太を赤い戦士へと変身させたブレスレット。

「このブレスレットなんだね………………………………」

「正式名称『ノヴァブレス』。

ノヴァシステムの一つの可能性です」

目を閉じて何かを考えるような表情を浮かべるドラ太郎。

「ノヴァシステムとは未来で開発された高密度のエネルギーを内包する変換増幅器のことです。

基盤となる装置から様々なシステムを構築可能なのです」

「へぇ…すごいんだねぇ」

「ノヴァブレスはアバレスーツというスーツを収納しています」

「………………………暴れ?」

「『アルティメット・バトル・レンジャー』の略です」

のび太に歩み寄るドラ太郎。

「のび太さん………仲間を集めるんです。

適格者が揃えば…ギガゾンビの野望を打ち砕ける」

「その適格者って誰のこと?」

「………………………………………………………」

何やら激しく揉み手をするドラ太郎。

「…………どうしたの?」

「……………………………………………………忘れました」

「……………………………………………………………………………は?」

To be continued

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ギガゾンビ

23世紀の時間犯罪者。

嵐と雷を操る不死身の精霊王としてクラヤミ族を操り、

7万年前の世界の支配を企んだ男。

最終的にはタイムパトロールに逮捕された。

出演作品『ドラえもん のび太の日本誕生』


第6話 宇宙の殺し屋

「忘れたって…どういうこと?」

頭をかくドラ太郎。

「転移のショックかさっきの戦闘の影響なのか…記憶がハッキリしないんです。

ただ覚えていたのは…適格者の一人がのび太さんだということ。

そして残りの5人がのび太さんに近しい人たちだということだけです」

(近しい5人……………………………………………………誰のことだ?)

悲痛な表情を浮かべるドラ太郎。

「のび太さん…………無礼は承知の上です。

お願いします!未来を救う為に………一緒に戦ってください!」

(…………………………………………)

ドラ太郎に歩み寄るのび太は、

ドラ太郎の肩(と思われる部分)を叩いた。

「協力するよ」

「本当ですか!?」

「もちろん。これくらいお安い御用さ」

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

笑みをこぼすのび太。

「未来でドラえもんが待ってるだろうしね」

そう言ったとき、ドラ太郎の表情が一変した。

のび太はその変化を見逃さなかった。

「…………どうしたんだい?」

「い…いえ…………何でもありません」

(……………………もしかして)

「ドラえもんに何かあったのかい?」

「…………………………………………」

「そうなんでしょ?何があったんだい…………」

ドラ太郎は何も答えない。

「………………………………ドラ太郎…頼む。教えてくれ」

そのときだった。

「俺が代わりに教えてやる」

「何!?」

声がした方向を見たとき、のび太は愕然とした。

「……………………何故……お前がここに」

「借りを返しに来た。銀河の辺境に住む小僧にな」

「まさか…………お前は……ギラーミン!!!」

「久し振りだな…………野比のび太!!」

コーヤコーヤ星でのび太と対決した殺し屋、

ギラーミンがそこにいた。

「野比のび太…………教えてやる。

あの狸達磨はな………破壊されたよ!」

一瞬、視界がぼやけた。

目眩がして、吐き気がして、気を失いそうになった。

のび太はその言葉の意味を良く理解出来なかった。

「ドラえもんが…………何だと?」

「もう一度言ってやろう。

奴はギガゾンビの軍に倒され…壊され…八つ裂きにされたんだ!」

喉が熱い。痛い。苦しい。張り裂けそうだ。

「………………………………………………本当なのか?…………ドラ太郎」

「ドラえもんさんは敵との戦闘中行方不明になりました。

突入したギガゾンビの本拠地から…ドラえもんさんの残骸と思われる物が発見されました」

「…………………………………………」

ドラえもんが破壊された。

信じたくない。けれどそれが事実。

「このときをずっと待っていた。

あのときの借りを返してやる!!!」

[STANDING BY]

拳銃を抜くギラーミン。

「許さない。絶対に許さないぞ!」

泣きながら叫ぶのび太。

「チェンジ!!!」

[CHANGE NOBI RANGER]

その瞬間、のび太の体が赤い閃光に包まれた。

「それが噂のノヴァシステムか」

銃を取り出すのび太。

「来いよ……ギラーミン」

「ククク。行くぞ!野比のび太!」

ギラーミンに向けて弾丸を放つのび太。

だが、その弾丸はギラーミンに当たらない。

(こいつ……銃口の位置で弾丸の軌道を予測しているのか!?)

ドン!

ギラーミンが放った一発の弾丸で決着は着いた。

弾丸がのび太の銃を弾き落とした。

「………………………………………………」

背中を向けるギラーミン。

「今回はここまでだ。

今の貴様を倒したところで面白味がない。

次に会うときは貴様の本来の力でかかってこい!」

そう言い残し、ギラーミンは去って行った。

[DESORPTION]

「………………………………………………!!!!!」

悲痛な叫びが響き渡った。

ドラ太郎ものび太にどんな言葉をかければいいのか、

分からなかった。

雨がいつのまにか降り注いでいた。

To be continued

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ギラーミン

ガルタイト鉱業に雇われていた腕利きの用心棒。

人を殺す事も厭わない人間ながら、

ギラーミンのポリシーとして、

「どんなに相手が強くても恐れず、どんなに相手が弱くても見くびらず」を持ち、

強者との闘いを望む一面も覗かせる。

のび太との一対一の早撃ち勝負を行い敗北した。

出演作品『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』


第7話 10年を通しての道程

パン!パン!パン!パン!パン!パン!

六発中二発命中。

「クソ!かなり腕が落ちてる………!」

コルクの銃弾を詰め直すのび太。

(昔の勘を取り戻さなきゃ………!)

激動の一日が終わり、迎えた翌日。

のび太はこれからの戦いのために射撃訓練を行っていた。

焦りを押し殺すように。

悲しみを塗り潰すように………。

「まずは仲間を集めなければなりません」

冷静な表情で語り始めるドラ太郎。

「ノヴァブレスの適格者…か………………」

「のび太さん。5人の適格者に心当たりはありませんか?」

「それはやっぱり…チームのみんなかな………」

疑問の表情を浮かべるドラ太郎。

「のび太さん……チームとは何ですか?」

「10年前にドラえもんと一緒に冒険した僕の友達のことさ」

そうしてのび太は簡単に説明し始めた。

「骨川スネ夫。

骨川コンツェルンっていう財閥の一人息子で…キツネみたいな顔してるんだ。

今はゴールデン・ゴージャス・カレッジに通いながら仕事してるみたい」

メモを取るドラ太郎。

「剛田武。

みんなはジャイアンって呼んでる暴れん坊。実家で働いてるよ。

最近大人しくなったけど……歌だけは聞いちゃダメだよ」

メモを取るドラ太郎。

「源静香。

優しくて芯の強い女の子さ。笑顔が最高なんだ。

僕と同じススキヶ原大学に通ってる」

ペンを止めるドラ太郎。

「のび太さんって…大学生だったんですか?」

「そうだよ。とんでもない落ちこぼれだけどね」

「なるほど………」

ペンを進めるドラ太郎。

「出木杉英才。

憎たらしいぐらい完璧な奴。灯大に通ってる。

…………………ライバルかな」

「何故ですか?」

「………………………………色々あるの!」

「これで全員かな…………………」

「…………………4人だけですか?」

「うん……他にも昔からの友達はいるけどさ。

でも…ドラえもんとの繋がりの深さで言えばその4人なんだよね」

「すると…………………残りの一人は…………………?」

考え込む二人。

「ドラえもんのわけないしな………。

あの体型でアバレスーツを着れるとは思えないし…………………」

「ちなみにアバレスーツは人間サイズでしか使えません」

「…………………………………………………………………………」

立ち上がるのび太。

「行こう………!ドラ太郎!

考えるなら後でもできる!今は行動しよう!」

「…………………分かりました!行きましょう!」

― ??? ―

「いよいよこの時が来たか…………………」

円卓に座る黒服の集団。

彼らは凶悪な時間犯罪者、ドラえもんたちへの復讐を誓う面々である。

「我らの世界を!我らの時間を!」

資金を提供するドルマンスタイン、Mr.キャッシュ。

強化人間を精製するDr.クロン、ストーム、アチモフ。

そして、とりわけ豪華に装飾された不在のイス。

そこに腰掛ける者は………………………………………………。

To be continued

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ノヴァブレス

ノヴァシステムの一種で、アバレスーツを収納している。

アバレスーツは適格者の肉体を包み込み、身体能力を強化する。

最大の特徴は武装変換機能。

装着者が武器と判断した物に大幅な強化改造を施す。

これにより、汎用性を大きく増している。


第8話 戦友の意志

「なるほどね。事情は分かったけど…どうして僕のところに?」

のび太とドラ太郎はスネ夫の家を訪れていた。

成長したスネ夫はのび太と同年代ながら、

すでに経営者としての頭角を現し、

奇才と謳われた父親の再来として持て囃されている。

「僕も忙しいんだ。要件は簡潔に頼むよ」

紅茶を飲みながら答えるスネ夫。

「スネ夫…僕らはさっき話したノヴァブレスの適格者を探している。

その適格者は僕に近しい人たちらしい。だから…………!」

「だから……僕を訪ねてきたのか?

ドラえもんと一緒に冒険したチームの一人である僕を」

のび太の言葉を引き継ぐスネ夫。

「そ……そうなんだ。だから一緒に………………!」

「断る。そういう危険で恐ろしいことはジャイアンにでも手伝ってもらいなよ」

スネ夫の口調は冷徹で容赦のない物だった。

「………………!スネ夫!ドラえもんの敵を討ちたいとは思わないの!?」

「………………………………僕はもううんざりなんだよ!

そんな恐ろしい目に遭うのは!

そりゃ……ドラえもんのことは可哀想だと思うけど……………………」

「………………分かった。行こう…ドラ太郎」

「いいんですか?」

「………………うん」

スネ夫家を後にするのび太とドラ太郎。

「考えてみれば理不尽な話だよね。

いきなりやってきて『戦え!』だなんてさ」

「しかし………………」

首を横に振るのび太。

「スネ夫は悪くない。この状況が狂っているだけだよ」

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

「この音は!」

「のび太さん!ギガゾンビの強化人間です!

「………………………………………………………………」

一人佇むスネ夫。

「ちくしょう!」

壁に拳を叩きつけるスネ夫。

「僕だって…………僕だって!!」

涙を流すスネ夫。

スネ夫とて身の安全のために断ったわけではない。

むしろのび太たちに協力したい。

しかし、恐怖心からのび太の意志に応えることが出来なかっただけなのだ。

「僕はなんて弱いんだ………………………………。

友達を助けることも出来ないなんて………………………………!」

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

鳴り響く轟音。

「まさか…ギガゾンビ!?」

(きっとのび太たちが戦ってる………………………………)

自分も行かなくてはならない。

しかし、体が言うことを聞いてくれない。

体が震えている。

恐怖心を抑えきれない。

その時だった。

「お兄さん……行かなくていいの?」

「え!?」

いつの間にかスネ夫の部屋に一人の少年が入り込んでいた。

「君は一体………………………………」

「お友達を助けなくていいの?」

「………………………………僕が行っても…何も変わらない」

「そうかな?」

「………………………………………………………………」

言葉を続ける少年。

「一歩踏み出す勇気が…力を与えてくれるんだ。

誰もが勇気を持っている。ただ迷ったり悩んだりしてるだけなんだ」

「………………………………僕にも出来るのかな」

「もちろんさ。お兄さんもドラえもんたちと出会って…キッカケを掴んでる」

「!?………………………………君は一体?」

窓の外を見下ろす少年。

「行ってあげなよ。お兄さんのお友達が助けを求めてる」

「…………………………………………ありがとう」

勢い良く扉を開け、外に出るスネ夫。

その足取りに迷いはなかった。

「………………………………………………………………………………………………」

一人部屋に残った少年。

「さて…行くとするか」

突然口調を変える少年。表情もどこか険しい。

「この物語の行く末に何が待ちうけているのか…………………………」

手をかざす少年。

すると、次元の扉が開かれた。

「野比のび太。…………………………あなたの勇気こそが世界を救う切り札だ」

To be continued

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骨川スネ夫

ナルシストかつイヤミ、口が上手くウソつき。

強がってはいるが、実は寂しがり屋の泣き虫。

出木杉不在の場合のチームのブレイン。

冷静な判断でチームを導く。

また、手先が器用で、彼の作品が大活躍したこともある。

現在はゴールデン・ゴージャス・カレッジに通いながら、

父親の骨川コンツェルンの発展に尽力している。


超ダイジェスト版

集結する戦士たち。

のび太、静香、出木杉、ジャイアン、スネ夫。

のび太たちは殺戮マシーンとして改造されたドラえもんを救出。

六人目の戦士として迎える。

そして、S.P.D.の助力により、

敵の本拠地に潜入。

そこには、改変された未来からやって来た、もう一人ののび太ともいうべき男が待ち受けていた。

男はのび太とは似ても似つかぬ残虐性と才能を持っていた。

静香を手に入れるという目的のために、

一連の騒動を起こしたことを男は告白する。

しかし、静香は男を拒絶。

自分が愛しているのはのび太だけだと告げる。

業を煮やした男は謎のシステムでノビレンジャーを圧倒。

あと一歩のところまで追い詰めるが、

のび太が瀕死の一撃を受けた代償に、

男とともに異世界へと跳んだ。

悲しみに打ちひしがれる仲間たち。

しかし、なんとそこに消えたばかりののび太本人から手紙が届く。

そこにはこれから世界を襲う厄災が記されていた。

異世界へと消えた二人。

のび太からの手紙。

謎の男、旅の霊夫。

そして自らの正体を明かすドラ太郎。

彼の正体は、種をまく者だった………………。

一方そのころ、のび太は………………。

To be continued